今回はウマ娘とJRAについて、コラボの可能性なども含めてこれまでの推移を書いていきたい(ウマ娘ニュースまとめはこちら)。
自衛隊吹奏楽によるウマ娘OP演奏
ニュースの時期的にすでに旬を過ぎた話だが、今年2023年10月、11月と行われたG1レース(競馬では一番格式の高いとされているレース)である、天皇賞秋、ジャパンカップでそのレースの休憩中に、自衛隊吹奏楽の皆さんがウマ娘のOP曲「ソシテミンナノ」「Make debut!」の演奏を披露した。また同じく2023年5月には日本ダービーの際「Glorious Moment」が演奏されている。
「ソシテミンナノ」に関しては今放送中の第3期ウマ娘OPなので楽譜に仕上げてから演奏で披露するまでの迅速さに目を見張る。
コラボではないし、また、競馬場はレースの合間に吹奏楽部による演奏がはさまれることは珍しい事ではなく、現に筆者も子供のころ近くに仁川競馬場があったのでリコーダーを吹きに行った経験がある。
ただ、ウマ娘の側はウェルカムでもJRAとしてウマ娘を避けている印象が、勝手ながら筆者の中ではあったので今回の自衛隊吹奏楽の選曲についてJRA側から待ったがかからなかったのは意外で、なのでここで一度ウマ娘とJRAについてその関係性をまとめて見たく思った次第だ。
※そしてよくよく調べてみると、過去から自衛隊吹奏楽によるウマ娘OP演奏はかなりの頻度で行われていたらしい。
- メイクデビュー(2022年ジャパンカップDAY:第1期オープニング)
- ユメヲカケル(2022年日本ダービーDAY:第2期オープニング)
- Glorious Moment(2023年日本ダービーDAY:ROAD TO THE TOPオープニング)
- ソシテミンナノ(2023年ジャパンカップDAY:第3期オープニング)
- ウマぴょい伝説(2022年有馬記念DAY:ウマ娘ED)
- メドレー?(2022年有馬記念DAY)
- メドレー?(2023年オークスDAY)
特別避けているわけではないらしい
調べてみてさらに意外だったのがJRAとしては特にウマ娘のみを避けているわけではなさそう、という事だった。
以下JRAがコラボした作品リストを見てもらうと分かるように、
- エヴァ
- ガンダム
- フェイト
- 戦国無双
- おそ松さん
- ポプテピピック
- けものフレンズ
- 松平健
それなりにサブカル系人気作品とコラボしているのがJRA。どちらかというと熱狂的なファン層を獲得している作品や、ネタ系アニメとのコラボを優先して行っているように見受けられる。話題先行型のコラボを組みがち。
その一方、競馬に関係のある作品とは一切コラボをしていない。
調べてみた限り、ダービースタリオン(ダビスタ)がゲームとして、2016年にJRAとコラボをしている実績が確認できた(記事)が、これもこの記事を見る限りJRA側がなにか特設ブースやイベントを競馬場内で行ったものではないらしい。
JRA会長はウマ娘効果に感謝しているらしい
また少し古い記事になってしまって申し訳ないが、2022年に出版された「Gallop」のインタビューによると、JRAの会長はウマ娘による競馬人口の増加や掛け金の増加、といったいわゆるウマ娘効果に感謝していたらしい。
どうも上記コラボ作品群と照らし合わせると、JRAとしてはなにかしら懸念点があるのか、それとも単に方針の問題で、競馬を扱う作品とはコラボをしないものの、特に否定的な態度は取っていない、という事になる。やるならご自由にどうぞ!というスタンスがうかがえる。
地方競馬はウマ娘とコラボ
そしてJRAがウマ娘とコラボしないので、もう競馬場全体がウマ娘とコラボしていないのでは、と思いがちだが実は地方競馬場はウマ娘とかなりコラボをしている。
ちなみに競馬はJRA管轄の10競馬場(函館、札幌、福島、新潟、中山、東京、中京、京都、阪神、小倉)と、それ以外の地方競馬と呼ばれる、JRAが管轄しておらずその競馬場のある都道府県や市区町村が管轄しているものとに分かれる。
ざっとネットで地方競馬とのコラボを調べて見ただけでも、
- 佐賀競馬
- 笠松競馬(オグリキャップゆかりの競馬場)
- 金沢競馬
- 帯広競馬
と出てくる。
また、行ったことがないのでコラボと言っていいのかわからないが東京メガイルミのウマ娘イベントは場所が大井競馬場とのことだし、東京メガイルミの運営は東京都競馬株式会社という会社なので、それなりに競馬場とサイゲームズが連携しているものと思われる。
ただ、いずれの場合にしてもJRA管轄の競馬場とはいっさいコラボしていないという事になる。
「ウマドンナ」について
またウマ娘とJRAについて語るうえでやはり外せないのがかつてJRAが公式にリリースしたブラウザゲーム「ウマドンナ」だろう。
「ウマドンナ」は2011年と今からなんと10年以上前にリリースされていた擬人化ゲーム、でありギャルゲー。
これだけ聞くと「ウマ娘じゃん」となるが、その実、全然違うゲームとなっていて、ウマドンナはプレイヤー側が馬。ギャル側がトレーナーという構図のゲーム。
確かにこれであればJRAが出したとしても、実馬の擬人化ではないので、馬主の反感を買うことなく擬人化ゲームにこぎつける。かなり頭を使った作品なんだと思う。
このウマドンナの存在があるからJRAがウマ娘を敵視している、という噂ががある。
実際、ウマドンナを企画した人やチームとしては、ウマ娘は面白くない存在だとは思うが、それが原因でウマ娘を組織として嫌うという事はほぼないと思う。
それにもしウマドンナの続編の予定があり、それがウマ娘に潰された形であるなら、あえてウマドンナとウマ娘のコラボを持ち掛ければいい話で、それをしないという事はすでにJRAとしてはウマドンナは終わった話、過去の作品の一つなのではないだろうか。
コラボ可能性は低い
と、こんな風に調べてみるとJRAは特段ウマ娘を避けているわけではなく、そもそも競馬関係の作品とのコラボを嫌っている。JRAの管轄に無い地方競馬はそういったこともなくウマ娘と頻繁にコラボを行っている。
個人的に思うのは、確かにウマ娘ブーム前はJRAのその対応でもよかったのかもしれない。馬主の事もあるだろうし、変に競馬を取り扱った作品とコラボするのは特定の馬主と軋轢を生みかねない。例えばそのアニメで敵側として描かれている馬を持つ馬主はいい気はしないだろう。あとは完全に主役を引き立てるかませ犬として描かれていても。
ただ、ここまで流行ったウマ娘とコラボをしなかったのはJRAとしてもウマ娘側としてもマイナスになっていると考える。お互いにウィンウィンの形でさらなる相乗効果を生めた可能性が広がっていたように思うので、それが一ウマ娘ファンとしてはもったいないと感じる。